歯を長く持たせるには
MI(Minimal Intervention)という考え方
「削らない」ことを実践するために
──精密な診断に基づく医療へ──

MI(Minimal Intervention:最小限の介入)は、歯をなるべく削らず、神経を可能な限り温存することを重視する現代的な治療概念です。その実践には、疾患の本質を的確に見極める「精密な診査・診断」が前提となります。病態をさまざまな観点から診断し、治療の必要性や選択肢を慎重に検討していきます。
●痛みの原因が本当に歯なのか? (顎関節・筋肉・神経・腫瘍など、他疾患の可能性を含めて鑑別)
●虫歯や歯周病の進行具合は? (病変の位置・大きさ・深さ・進行速度などを総合的に評価)
●修復による保存が可能か否か? (削る処置の必要性・残存歯質の量・予後を見据えた判断)
“治療ありき”ではなく診断を起点として本当に必要な医療を選ぶ。それこそが、MIの第一歩であり、低侵襲・高精度を目指す歯科医療の本質です。
MI治療 実践
歯をなるべく削らず、神経を可能な限り温存し、抜歯を回避するため、以下のような最新技術と知見を組み合わせ、精密かつ低侵襲な治療を実践しています。
1. 精密診断と最小限の治療
● CBCTによる診断(高解像度3D画像での精密な病変の可視化)早期発見と治療戦略の立案により、より少ない介入での治療を可能にします。
●PCR検査(口腔内細菌叢及び原因菌の可視化・評価)
●フェイスボートランスファー(顎の位置と噛み合わせの角度を精密に可視化)
●歯科用顕微鏡(マイクロスコープ)での全行程治療
高倍率下での正確な処置により、歯の保存と治療精度を両立。
●ラバーダム防湿
唾液や細菌から治療部位を隔離し、接着の成功率を高めます。
●最小限の切削
出来るだけ小さく削り、一生涯において神経まで到達するまでの治療回数を稼ぎます。
【一般的な治療例】 虫歯の発見が遅く・大きい場合
1回目:詰める、または型取りの治療治療(虫歯が神経までいってしまっている場合には神経をとる(抜髄))2回目または3回目:再根管治療4回目で抜歯(歯を抜く)
2回目または3回目:再根管治療
4回目で抜歯(歯を抜く)
早期に発見し小さく詰めることにより、歯は次剥ぎになりますが、神経を取らないため、抜歯に至る可能性が低くなります。
●高度な根管治療(炎症消失・組織再生・破折歯の保存)
マイクロスコープとCBCTを駆使し、見逃されがちな病変や微細な破折も的確に診断。治療精度を徹底的に高めることで、抜歯と診断された歯を多く救ってきた実績があります。
再発の少ない根管治療を行うことにより抜歯に至る可能性が低くなります。
●接着技術の進歩
現段階で最も有効といえる最新の接着技術(材料)で詰めものを強固に接着し露出した歯の内部を密閉します。段差のない精度の高い補綴物で二次う蝕のリスクを最小限に。さらに、フロスが“パチッ”と通る清掃性の高い接触点と滑らかな修復面の再現で、再発を防ぎます。

- 経験と研鑽による応用力
知識だけではなく「どう使いこなすか」、材料選択・タイミング・手順まで含め、日々の研鑽が治療の質を支えています。
2. 歯科衛生士によるアプローチ
【初期治療】
●PCR検査に基づいた細菌のコントロールと初期治療
●顕微鏡での歯肉縁下歯石・バイオフィルムの徹底除去
【定期メインテナンス】
●顕微鏡によるクリーニングとプラーク除去
●補綴物のチェックと不良補綴物の早期発見
●噛み合わせの確認と咬合性外傷のチェック
●ステイン除去やホワイトニングなどの審美的ケア
●ホームケアの確認とアドバイス
●ライフスタイルに合わせた生活習慣の改善サポート
歯の治療の先に“人生の質”を見すえて
当院が実践するMI(Minimal Intervention)は、単なる「削らない治療」ではありません。
その本質は、精密な検査と診断に基づく医療体制と、患者さんの“これから”に寄り添う選択の積み重ねです。
CBCTや顕微鏡、PCR検査などのテクノロジーを活用して原因を見極め「 再発を防ぐ治療設計」を行います。
また、歯科衛生士による初期治療と予防メインテナンスの徹底により、 歯を「守り続ける」ための体制を構築しています。
歯を長く持たせることは、患者さんの「こうありたい」という人生の願いを支えること。
だからこそ、1本の歯の治療に、私たちは本気で取り組みます。

