20年前に考えた「自分たちが通いたい歯科医院」

2007年、私たちは「家族や大切な人にしたい、理想の治療ができる歯科医院」を目指してイリタニオフィスを開業しました。

 

緊張せずに過ごせる空間であること。

診療室に案内され、すぐにユニットを倒して治療を始めるのではなく、治療を始める前に、きちんと話を聞くこと。

医院の要でありながら、暗くひっそりとした場所に置かれることの多かった滅菌供給部門を、患者さんからも見える、明るくオープンな空間にすること。

そして、一人ひとりの診療に集中できる、完全予約制と個室の診療室。

 

設備や診療内容は、20年目の今まで少しずつ変化してきました。

けれど、オフィスをつくったときの考え方は変わっていません。

20年を費やし、その考え方を一つひとつ診療の形にしてきました。

そして今も、その先の理想に近づくためにオフィスも診療も変え続けています。

 

現在のイリタニオフィスを入り口からご案内します。

レセプション 待合室

エレベーターを降りると右側にレセプションがあります。

レセプション 待合室

歯科医院に来るだけで緊張する。そんな方も少なくありません。

だから、エレベーターを降りた瞬間から「歯科医院らしくない空間」にしたいと考えました。

あたたかみのある空間であること。そして歯科医院独特の薬品の匂いがしないこと。

音楽、インテリア、季節の花、さまざまなジャンルの本。

完全予約制のため長くお待たせすることはほとんどありませんが、診療までの時間を少しでも穏やかにお過ごしいただければと思います。

meeting room|かつて、話をするために作った部屋

当初、私たちは「話をする場所と、治療する場所は別でありたい」と考え、専用のミーティングルームをつくりました。

まずは、お話を伺い、口腔内写真やエックス線画像、歯科用顕微鏡で記録した映像などを一緒に見ながら、診療について話し合うための部屋でした。

meeting room

しかし、コロナ禍をきっかけに診療の流れを見直さざるを得なくなりました。

医療の前提として歯科医院で一番大切なことは、患者さんを感染から守ること。現在はミーティングルームではなく、個室の診療室「クリーンルーム」でお話を伺い、検査結果や治療についてご説明しています。

 

場所は変わりましたが、

今、何に困っているのか。何が不安なのか。

これまで、どのような治療を受けてきたのか。

そして、これからどうしていきたいのか。

 

治療を始める前に、まず話をお聞きする。

その姿勢は20年間変わっていません。

 

Sterilization & Supply | 滅菌供給部門

オレンジ色のラインが続く通路の途中に、ガラス張りの滅菌供給部門があります。開院当時、私たちはこの場所を「滅菌室」と呼んでいました。

 

2007年の開院時から、使用した器具を洗浄・消毒し、包装、滅菌して、再び診療へ供給するまでの一連の流れを考え、この場所を作りました。

sterilization room

 

患者さんから見えにくい部分だからこそ、あえて外から見える「公開型」の滅菌室として設計しました。

 

「隠さずに見せられる場所」という考えからです。

 

その後、感染制御について体系的に学ぶなかで、器具の再生処理は「滅菌」だけではなく、その前段階である洗浄も重要であることへの理解が、さらに深まっていきました。

 

開院時に導入を見越して確保していたスペースには、その後WD(ウォッシャーディスインフェクター)が入りました。

洗浄から滅菌、そして再び診療へ供給するまでを担う場所として、今は「滅菌供給部門」と呼んでいます。

 

現在も、標準予防策に基づいた感染管理を行い、ヨーロッパ規格EN13060のクラスBに適合する滅菌器を使用しています。

 

見えないところも、診療の一部です。

X-ray room | 見えないところを診る部屋

歯や骨の内部など、目で見ることのできない部分を調べるための検査室です。

 

2007年の開院当時、歯科のエックス線撮影はまだ現在のようにデジタル化が広く普及していない時代でした。

 

開院時からデジタルエックス線撮影装置を導入し、将来さらに詳しい検査が必要になることを考え、CBCT(歯科用CT)を設置できるよう、あらかじめ壁や電源なども準備しました。

clean room 

 

その後、実際に歯科用CBCTを導入しました。

通常のエックス線写真に加え、必要に応じて歯や骨の状態を三次元的に確認できるようになりました。

開院時に将来を見据えて準備していた検査環境が、現在の診療につながっています。

 

Clean room | 治療を行う個室

治療を行うための個室です。

外科処置を含め、より清潔な環境で治療が行えるよう、医療用空気清浄設備「クリーンエリア」を備えた個室です。「クリーンルーム」と名づけました。

歯科用ユニットにはアメリカA-dec社製のものを採用しています。うがいのための設備は設置していません。診療室の中を、できるだけ清潔な環境に保つために考えたことのひとつです。

clean room 

 

一方で、治療を行う場所だからこそ、できるだけ快適に過ごせる空間であることも大切にしました。

 

室内には音楽が流れ、身体を包み込むような診療チェアで、長時間の治療でもできるだけ負担なく過ごしていただけるようにしています。

 

歯科用顕微鏡をはじめ、診査・診断や治療に必要なさまざまな機器を備えています。

 

rose room 歯科衛生士の部屋

淡い色調でつくられた、歯科衛生士のための個室です。

歯科衛生士の部屋

開院当初から、治療が終わったあとも口腔の健康を維持していくために、歯科衛生士によるメインテナンスを大切にしてきました。

 

現在では、歯科衛生士も顕微鏡を使用し、肉眼では確認しにくい小さな変化まで観察・記録し、次のメインテナンスへつなげています。

 

今では、20年近く継続して担当している患者さんや、親子2代にわたって通ってくださっているご家族もいらっしゃいます。

その時だけきれいにするのではなく、できるだけ治療をしなくてすむ状態を長く維持するための部屋です。

 

ローズルームは、患者さんのお口の変化を長く見続けてきた部屋でもあります。

 

「開発中」だった未来が現在に。そして未来は?

開院当時のオフィスツアーには、こんな一文が残っています。

 

「マイクロスコープは歯科衛生士のローズルームを含め、すべての部屋に常設する予定です。」

 

当時は、まだ「予定」でした。

2008年に最初の歯科用顕微鏡を導入し、その後、治療を行う部屋だけでなく、歯科衛生士がメインテナンスを行う部屋にも導入しました。

 

20年目の現在、歯科用顕微鏡は特別な部屋で使う特別な機器ではなく、診療の風景に溶け込み、まるで空気のような存在になっています。

 

自分たちが受けたい、大切な人に受けてもらいたい診療とは何か。

その問いを繰り返しながら、オフィスも診療も少しずつ変わってきました。

そして、これからも変わり続けます。