インプラントは何年使える?40年以上の長期経過から考える大切なこと

インプラントは何年くらいもつと思いますか?

「インプラントは何年くらい使えるの?」

「高額な治療だけれど、長持ちするの?」

そんな疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

 

実は、インプラントには40年以上使い続けられた記録があります。

今回は、インプラントの歴史と長期経過、そして長く使うために大切なことについてご紹介します。

インプラント

世界初のインプラント患者さんは41年間使い続けた

1965年、スウェーデンのペル・イングヴァール・ブローネマルク教授が、

イエスタ・ラーション氏にインプラント治療を行いました。

ラーション氏は、現在の骨結合のインプラント治療の最初の患者さんとして知られています。

 

その後、2006年に亡くなるまでの約41年間、

インプラントは機能し続けていました。

 

注目したいのは、単に41年間使えたということだけではありません。

この患者さんには、数十年にわたる経過観察とメインテナンスの記録が残されているのです。

 

その記録は現在、米国補綴学会のブローネマルク・アーカイブで紹介されています。

インプラントの歴史は、治療後の経過を長く見続けてきた歴史でもあるのです。

2025年、40年間の長期経過が報告されました

2025年、スウェーデンのヨーテボリ大学から、

インプラント治療後、38年〜40年間の長期経過を調査した研究が発表表されました。

 

1982年から1985年にインプラント治療を受けた患者さんを追跡した研究です。

調査対象となった13人、18本のインプラントでは、40年近く経過しても良好な結果が報告されました。

累積生存率は95.6%でした。

 

ただし、比較的小規模な研究であり、すべてのインプラントが40年使えるという意味ではありません。

 

また、人工歯根が維持されていても、

その上に装着する人工歯は修理や交換が必要になる場合があります。

インプラントが残っていることと、治療後に何も問題が起きないことは、

同じではないのです。

予防歯科先進国スウェーデンの取り組み

スウェーデンは、予防歯科やメインテナンスの研究が発展してきた国として知られています。

その代表的な研究の一つが、アクセルソンらによる30年間の追跡調査です。

 

この研究では、定期的な専門的清掃と患者さん自身によるプラークコントロールを継続した結果、

虫歯や歯周病の発症、歯の喪失が少なかったことが報告されました。

 

重要なのは、治療によって良くなった状態をその後も継続して管理していたことです。

悪くなったら治すだけではなく、悪くならないように管理する。

 

これは、天然歯だけでなくインプラントにも通じる考え方です。

ただし、この30年間の研究は天然歯の虫歯・歯周病予防について調べたものであり、

インプラントの長期生存率を直接示したものではありません。

インプラントもメインテナンスが必要

インプラントは人工物なので、虫歯にはなりません。

しかし、インプラントの周囲に細菌が付着すると、歯ぐきに炎症を起こすことがあります。

 

さらに炎症が進行し、周囲の骨にまで影響が及んだ状態を「インプラント周囲炎」と言います。

インプラント周囲炎が進行すると、インプラントを支える骨が失われ、

維持することが難しくなる場合があります。

 

そのため、毎日の歯磨きや補助清掃用具によるセルフケアに加え、

歯科医院での定期的なメインテナンスが重要です。

 

メインテナンスでは、インプラントの周囲の歯ぐきの状態、プラークの付着、噛み合わせなどを確認します。

必要に応じてレントゲン撮影を行い、周囲の骨の変化を調べることもあります。

自覚症状がなくても、長期的に状態を確認し続けることが大切です。

インプラントだけでなく、残っている歯も守る

インプラント治療は、失った歯の機能を回復するための有効な選択肢の一つです。

しかし、天然歯と全く同じものではありません。

 

天然歯には「歯根膜」という組織があり、噛む力を受け止めたり、力を感じとったりする働きがあります。

一方、インプラントには歯根膜がありません。
それぞれの特徴を理解し、適切に管理していく必要があります。

 

インプラント治療を検討する際には、失った歯を補うことだけでなく、

今ある歯をこれからどう守っていくかという視点も大切です。

治療後も、長く見続けること

インプラント治療の歴史を振り返ると、40年以上機能し続けた症例があることがわかります。

その一方で、長期間の使用をすべての患者さんに保証できるわけではありません。

 

治療の方法、お口の状態、全身の健康状態、日々のセルフケア、そして治療後のメインテナンス。

さまざまな要素が長期経過に関わっています。

 

歯科治療は、治療が終わった瞬間だけで評価できるものではありません。

治療後も、その歯がどのような経過を辿っていくのか。

その変化を長く見続けることが、インプラントも天然歯も守るために大切なのです。

 

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