PMTCとは?30年で日本の予防歯科は変わったのでしょうか?
歯科医院で「PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)」という言葉を耳にしたことはありますか?
PMTCとは、歯科医師や歯科衛生士が専門のペーストを用いて行う、専門的な歯面清掃のことです。
毎日の歯磨きでは落とせないバイオフィルムや着色を除去し、虫歯や歯周病を予防するための口腔ケアとして広くおこなわれています。
では、PMTCが日本に広まって約30年。
日本の予防歯科は、どのように変わったのでしょうか。

PMTCが日本に広まって約30年
PMTCの考え方は1970年代にスウェーデンで確立され、日本では1990年代頃から徐々に広まりました。
現在では多くの歯科医院で「歯のクリーニング」として行われていますが、当時は専用の器具や研磨ペーストも現在ほど充実しておらず、PMTCはまだ新しい考え方でした。
その後、器材や材料の進歩とともにPMTCも発展し、現在では予防歯科を支える専門的な口腔ケアの一つとして広く定着しています。
“歯のクリーニング”という考え方が広まった
PMTCが日本にもたらした大きな変化の一つは「歯のクリーニング」という考え方が広く知られるようになったことではないでしょうか。
以前は、歯科医院は「歯が痛くなったら行く場所」というイメージが一般的でした。
もちろん、歯石除去などの専門的な処置は以前から行われていましたが、健康な歯を維持するために歯科医院で専門的なクリーニングを受けるという考え方は、現在ほど一般的ではありませんでした。
PMTCの普及によって「症状がなくても歯科医院でお口の健康を管理する」という新しい受診スタイルが少しずつ広まり、「歯のクリーニング」という言葉も、多くの方に親しまれるようになりました。
日本人の歯は残るようになったのでしょうか?
この30年間で、日本人のお口の健康状態は着実に改善しています。
その代表的な指標が「8020運動」です。
当時、80歳の平均残存歯数は約4〜5本でした。そのような時代に「80歳で20本以上の歯を保とう」という目標は決して簡単なものではありませんでした。
現在では8020達成者の割合は年々増加し、高齢になっても自分の歯で食事を楽しめる方が増えています。
もちろん、その成果をPMTCだけによるものと考えることはできません。
毎日のセルフケア、フッ化物の普及、歯周病治療の進歩、定期的な歯科受診など、様々な取り組みが積み重なった結果として、現在の予防歯科があります。
PMTCもその一つとして日本の予防歯科を支えてきた大切な口腔ケアです。
PMTCだけでは歯は守れません
PMTCは、専門的な口腔ケアとして大切な役割を担っていますが、一度受ければ虫歯や歯周病を防げるわけではありません。
毎日の歯磨きや歯間清掃などのセルフケアと組み合わせることで、その効果をより発揮します。
PMTCの30年が教えてくれたこと
PMTCが日本に広まって約30年。
専門的なクリーニングは、多くの歯科医院で行われるようになり、「歯を守るために歯科医院へ通う」という考え方も少しずつ広がってきました。
一方で、歯が痛くなってから受診する方が、今なお少なくないことも現実です。
近年ではお口の健康は「食べる」「話す」「笑う」といった日々の生活を支えるだけでなく、全身の健康や生活の質との関わりについても多くの研究が進められています。
これからは8020という目標にとどまらず、できる限り多くの歯を生涯にわたって健康な状態で維持し、その先にある豊かな人生やウェルビーイングにつなげていくことが、これからの予防歯科に求められる役割ではないでしょうか。
PMTCは、その未来を支える口腔ケアの一つとして、これからも重要な役割を担っていくことでしょう。
