歯科治療は一本の歯を確実に安全に行なうことから始まります。
歯の治療は清潔で乾いた状態で行なわなければなりません。

全ての歯科治療において可能な限りラバーダム防湿法を行なうことは歯科医師の責務であると考えます。ラバーダム防湿法を行なわないということは確実に歯の寿命を大きく縮めることになるからです。

歯科治療において診断や型取り、技工物の製作など、どんなにデジタル化が進んだとしても、充填、接着、根管治療など、全ての処置に基本処置のラバーダム防湿法を行わなければその効果は全く得られません。

歯の病気のほとんどはバクテリアが原因であり、歯の治療の全てはバクテリアとの戦いであり、無菌的操作をすることが歯の寿命を延ばすことに直結するからです。

ラバーダム防湿法はマイクロスコープ(顕微鏡精密歯科治療)同様に歯科治療の基本中の基本であると言えます。

治療に集中 精度の高い治療を

ラバーダム防湿法で歯を隔離することにより、2本の手を自由に使うことができ、治療に集中することができます。口腔内の治療は暗闇であり危険な環境と言えます。治療の精度を高めることができます。

治療に邪魔な舌や頬は排除され、唾液で手や器具が滑るなど唾液で悩まされることもなくなります。器具の落下、器具や薬剤の誤飲を気にすることがなくなり治療に集中できます。

感染予防 安全な院内環境を作ります

ラバーダム防湿法を行なわない歯科治療は、診療室の広い範囲に血液や唾液を飛散させ、室内空間を汚染します

口腔内には400~900種類のバクテリア、ウイルス、カビなどが潜んでいます。

歯科治療は空気や水を強く噴霧しながら削る特性があることから、ラバーダム防湿法を行なわない歯科治療ではこれらで汚染された体液成分が一緒に飛散します。

ラバーダム防湿法を用いることにより最も効果的に診療室を含めた院内環境の汚染や感染を防ぎます。

歯を守る バクテリアの感染から

ラバーダム防湿法はお口の中の小さな手術室です。歯を感染から守る目的があります。

虫歯の治療 ラバーダム防湿

多くの歯科治療ではエナメル質を削り象牙質歯髄(神経)が露出します。露出した象牙質や歯髄は発生学的に体の内部と言えます。

嵐の後の濁った河川の河原でお腹の手術をすることはあり得ません。歯の治療は、皮膚を切開し筋肉や血管そして内蔵を露出させた状態と何ら変わりがありません。歯の治療も清潔な環境で行なう必要があります。それがラバーダム防湿法と言えます。

乾燥を保つ 唾液からの隔離

歯に詰め物をするとき、薬を歯に作用させるとき、被せ物を接着するときに、充填材や薬・接着剤が唾液に流されず効果的な治療が行えます。歯髄温存療法のように薬理効果を期待したい治療や、緻密な作業を要求される接着には、確実な乾燥が必要となります。

歯が唾液で濡れて汚染されては、治療が不確実なものとなります。しっかり・丁寧に乾燥させます。

誤飲の防止

歯科で使用する器具はとても小さく、ラバーダム防湿法を用いることで、口腔中への器具の落下や誤飲を防止します。歯を切削するバーや根管治療に用いるリーマーと呼ばれる器具は数ミリ単位の器具です。

また刺激の強いなどが流れ込むのも防止することができます。(歯の治療にはその特殊性から酸など粘膜に刺激のあるものを使うことがあります。)

 

ラバーダム防湿法にはたくさんのメリットがあります。当院では可能な限りラバーダム防湿法を使用して治療を行なっています