完全予約制だからできる清潔で安全な器具の準備

当院は1日少人数限定 完全予約制にすることにより、その日に使用する人数分の治療器具、及び削る機械(タービン・エンジン)を前日に全て滅菌したもの又はSUD(使い捨て製品)で準備します。当日の急な器具の不足で、アルコールなどの消毒薬を用いて清拭して再使用する、不完全な消毒薬への浸漬消毒できていないまま再使用する等の使い回しはありません

目の前で開封

診療が始まる前に、患者さんの目の前で使う器具を開封します。包装材はテープで、滅菌バックはしっかりシールしてあり、内部は無菌状態を保っています。

封の開いた滅菌バックから取り出して「滅菌しているように見せかける」、「未滅菌の切削器具を最初から装着しておき滅菌していると思わせるなどの、滅菌バック包装材の使い回しはありません。包装材滅菌バックも患者毎に使い捨てです。

患者さんの目の前で使う器具

(基本セット開封前)

包装外部のテープClass1の変色(縞模様)は、滅菌器を通った証です。滅菌したものを準備します。バイタル測定後目の前で開封します。

基本セット 基本セットを患者さんの目の前で開封

(基本セット開封後)

(インジケータの確認)
患者さんと一緒にClass6のインジケータが変色し滅菌が合格していることを確認します。インジケータが緑であれば包装内部まで滅菌されています。 

滅菌保証とは

滅菌器が正確に稼動し、被滅菌物(器具)の滅菌が確実に出来ているかを具体的にデータで示し文書化することを言います。

参考)日本医療機器学会 滅菌保証ガイドライン 2021

「滅菌器を完備しています」「滅菌バックに入れています」「滅菌しています」と言っているだけでは滅菌している事にはなりません。それは滅菌していないことと同じです。

真空脱気高圧蒸気滅菌 バイオロジカルインジケータ 化学的インジケータ

(真空脱気高圧蒸気滅菌 バイオロジカルインジケータ 化学的インジケータ)

「いつ」「誰が」「どの滅菌器で」「何を」滅菌したかを記録し、その滅菌行程が適正な条件で行われていたかをモニタリングし、データ(物理的インジケータ化学的インジケータバイオロジカルインジケータで証明して初めて滅菌したと言えます。

→更に詳しく イリタニオフィス 東京歯科医療安全・感染制御研究会

 

ガラス張りの滅菌室 / sterilization room

診療室に入る前にガラス張りの中央材料室洗浄・滅菌・器材の保管などを行う)があります。

ガラス張りの中央材料室

(ガラス張りの中央材料室)

ガラス張りのフルオープンスペースとなっており、常時ガラス越しに室内の作業を見ることができます。毎日の滅菌保証もご覧いただけます。

中央材料室のゾーニング

(中央材料室のゾーニング)

中央材料室はゾーニングされており、使用された器具は全て不潔域であるレッドゾーンで洗浄され、滅菌を経てグリーンゾーンで保管され払い出されます。不潔域から清潔域へは一方向になっており、清潔と不潔が混じり合わないようになっています。

 

本来、滅菌供給業務は裏作業で非公開とする医院が多いかと思いますが、当院は隠すことなく清潔さを証明するため全て公開しています。

 

中央材料室の管理は第1種滅菌技師が専任

中央材料室の業務は第1種滅菌技師が専任で行います。

(滅菌技師/士は一般社団法人 日本医療機器学会の認定資格です)

滅菌技師/士 認定制度は、医療施設に関連した滅菌供給業務の知識と実践に優れた技士を養成し、学会として認定することにより、人類の健康と福祉および医療の安全に貢献することを目的として発足されました。

2000年に第2種滅菌技士認定制度が、2003年にはより高度な知識と技術を有した第1種滅菌技師認定制度が発足しました。

当院の中央材料室のスタッフは全員滅菌技師/士の資格を取得しています。

高圧蒸気滅菌器はヨーロッパ規格 クラスB LISA

当院の滅菌器は高圧蒸気滅菌器です。滅菌剤はであり、滅菌した器具への滅菌剤の残留度毒性の心配がなく安価で安全な滅菌器です。

世界で最も信頼性のある規格、プレバキューム方式のヨーロッパクラスBを導入しています。世界最高峰のLISA(W&H社、イタリア)です。

滅菌器 ヨーロッパ規格 クラスB LISA

(滅菌器 ヨーロッパ規格 クラスB LISA)

滅菌をインジケータで確認

全ての治療に必ず用いる基本セットです。

滅菌をインジケータで確認

患者1人分毎に個包装し、外部にはClass1の滅菌テープを貼ります。滅菌器を通過するとテープの色が変わります。滅菌済み未処理かを色調変化で判別する高圧蒸気滅用の表示テープです

歯科医師の基本セット

歯科医師の基本セットです。

歯科衛生士の基本セット

歯科衛生士の基本セット グレーシースケーラーのフルセットです。

包装内部には最も条件の厳しいClass6化学的インジケータを入れており、包装内部の器具に蒸気が当たって滅菌できているかを確認しています。

 

削る機械(タービン・エンジン)も ヘリックテストで滅菌保証

歯を削る機械は滅菌バックで患者毎に個包装しています。

滅菌バック内部には、管腔構造内部の蒸気浸透性を検査するためのインジケータ(ヘリックステスト)を同封し、管腔器材の内部全面に蒸気が浸透し滅菌されていることを確認します。

プレバキューム式高圧蒸気滅菌器を使用することで管腔器材内の空気溜まりを防止します。空気の残留は蒸気浸透の妨げとなり滅菌不良の原因になります

歯を削る機械

滅菌状態の可否や患者ごとの個別管理・滅菌保証についてはネット上で公開しています。

イリタニオフィス医療安全滅菌管理研究会

これは現代医学で今現在考えられる最高の滅菌保証となります。

口に触れる治療器具

【全て滅菌またはSUD(単回使用器具):使い捨て】

口に触れるありとあらゆる全ての治療器具は滅菌されています。

使い捨て

滅菌された基本セット、紙エプロン、うがいのインナーカップ、紙コップ、ヘッドレストカバー、機器類をカバーするための各種スリーブ類。

滅菌できないものは使い捨てのSUD単回使用器具)またはその方専用としています。
 

【機器類をカバーするためのセット】

【機器類をカバーするためのセット】

医療機器のスイッチ類コード類ホース類交差感染を防ぐためラッピングカバーをしています。

【消毒では不完全】

当院ではアルコールなどの消毒薬を用いた清拭だけの器具の使い回しはしていません。

 

全て滅菌、またはSUD(単回使用)ディスポーザブル(使い捨て)のものを使用しています。

器具の保管

滅菌された器具は、すぐに使用するものは棚へ、すぐに使用しないものは、扉付きの棚の中で保管されます。

器具の保管

(器具の保管)

器具の払い出し

滅菌保証を確認します。

最終的にバイオロジカルインジケータの変色が合格であることを確かめ器具は払い出しされます。

器具の払い出し

(バイオロジカルインジケータの結果)
この培養には10時間かかるため、結果が出るまで器具を使わずに保管しておかなければなりません。滅菌保証を行うためには器具のストックが必要となります。診療人数の1.5倍から2倍、器具が必要となりますので、器具を揃えるコストがかかります。

事前に器具を準備することの意義

完全予約制のため、計画診療が可能となります。前日までに器具・器材を準備できます。事前に必ず確認するため、器具・器材の不足による、当日の使い回し迅速処理フラッシュ滅菌で対応することはありません。キレイで安全な器具を準備します。

オフィスの歴史 中材・供給方式

当院では2007開業当初より、診療に使用する全ての器具・器材を滅菌してきました。当初はカスト缶に入れて滅菌し、必要な器具・器材を鑷子でトレーに取って使用していました。今では使用しなくなったカスト缶。

医院の中材の歴史として写真をここに残しておきます。(以下当時のHP原文)

 

-院長より-

自分の診療スタイルにおいて完全予約制・個室診療には中材・供給方式とするのが望ましいと経験的に考えている。それが清潔かつ安全であると考えています。

清潔な器具器材置き場には整然と滅菌された器具・器材が並んでいるのが目につくと思います。もちろん、滅菌・消毒に自信を持っているので、いつでもガラス張りのコーナーから確認することができます。いつも、キレイだから自信を持って公開出来ます。

オフィス滅菌の歴史 カスト缶

開業当初は全ての器具・器材をカスト缶に入れて滅菌していました。

【カスト缶1 】

カスト缶1

ラバーカップ、パイル皿、ステンレスシャーレ

ラバーカップを滅菌していることが“滅菌していると”いう一つの証。

 

*ラバーカップを滅菌しているところは今でもほとんどありません

 

【カスト缶2 】

カスト缶2

5倍速コントラアングル、超音波スケーラー、ストレートエンジン、コントラアングルプロフィー、ドライヤー

切削器具はすべて滅菌、一日の来院数分の本数を常備。もちろん、バー類、チップ類もすべて滅菌しています。

 

コロナ禍で飛ぶように売れて品切れになった切削器具です。コロナ禍まではどうしていたのでしょうか…今では患者さん毎が当たり前になったのか!?まだ疑問があります。診療分の本数を用意するには相当なコストがかかるからです実際に稼働するには使用したら再生処理(洗浄・滅菌)しなければならないので最低でも1日の患者数の1.5倍から2倍の本数が必要となります。

 

【カスト缶3】

カスト缶3

リムーバー、スパチュラ、筆、プライヤー

滅菌を行なうことがほとんどない、スパチュラやリムーバーまで滅菌しています。

 

スパチュラやリムーバーは通常引き出しに入れておいて使ったらアルコールで拭いて戻すのが一般的です

 

【カスト缶4】

カスト缶4

開口測定器、デバイス、マトリクスバンド、クランプフォーセップス、小器具等、小器具等も全て滅菌している。

 

【カスト缶5】

カスト缶5

エンドサクセス、ニッケルチタンファイル、根管長測定器プローブ、小ビーカー、クランプ、その他根管治療小器具

当然、歯内療法の小器具全て滅菌しています。

 

*ファイル類は未使用の物を滅菌し、使用後は使い捨てです。リーマーやファイルの再使用はありません。ほとんどの歯科医院ではファイルを再使用していますが、使用後のリーマーやファイルは切削片を洗浄することは実際には不可能です。

 

【カスト缶6】

カスト缶6

エバンス刀、ZOO、CR充填器、咬合紙ホルダー、クラウンリムーバー、その他少器具

ありとあらゆる医療器具滅菌しています。